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VOCとは常温で気化して空気中に溶け込む有機化合物です。この中でもっとも悪名高いのが接着剤等に含まれるホルムアルデヒドですが、他にも一説によると千種類を越えるVOCが溶剤や可塑剤に含まれていて、発ガン性や催奇性の疑いをもたれているものも数多くあります。また農薬にも揮発成分を含むものがあります。 人体への影響 VOCによる健康障害は中毒・アレルギー・化学物質過敏症として現れます。中毒がr(千分の1g)単位で引き起こされ反応も個人差が少ないのに対して、アレルギーはppm(百万分の1)単位でまた化学物質過敏症はppb(十億分の1)もしくはそれ以下の単位で引き起こされ反応は個人差が大きく出ます。 アレルギーは体内に異物が入り、これに対して体の抗体が過敏に反応して起きる症状です。化学物質過敏症の発症のメカニズムははっきりしていませんが、最初に多量の化学物質にさらされて異常反応を起こした人にはその後きわめて微量の同じ化学物質に対しても症状が出やすいとされています。 新築家屋の場合、入居前の締め切った状態がもっともVOCの濃度が高いと考えられ、入居直後の大量被爆によりその後残存する微量のVOCに対しても発症すると考えられます。 対策 まず塩ビ(ポリ塩化ビニル)には柔軟性を持たせるために添加されている可塑剤に発ガン性を持つVOCが使われていてこれが長期間にわたり放散されるので、塩ビの使用はできるだけ避けましょう。 次に、家屋に使われるVOCをできるだけ減らします。最近になってホルムアルデヒドの含有量の少ない合板や新建材も出てきました。 ただ他のVOCについてはほとんど手つかずの状態で、ホルムアルデヒドに替えてアセトアルデヒドなどの毒性を持つ物質を使用している建材が数多くあります。畳の防ダニ、防カビ用に使われている農薬類もかなりの高濃度のものがあります。欧米ではTVOC(TotalVOC)といって、室内のVOCの総量を規制するための研究が進んでいます。 その意味からも無垢の木材を使うのは効果的です。建築材料としての木材は有史以前から使われてきたのですから安全性に関しては実証済みといえます。 そして入居直後のVOCの大量被爆を避ける工夫をします。 入居前にできるだけ頻繁に換気を行ってください。さらに室内の温度を30℃以上に上げてから一挙に換気を行いこれを何度か繰り返します。これをベイクアウトといい温度が上がると放散が促進されるVOCの性質を利用したものです。 ただしすべてのVOCに当てはまるわけではないので換気が第一と考えてください。 入居後も特に最初の1ヶ月は換気を第一とします。そう考えると夏にエアコンをかけたまま閉めきりにするのはかなり危険といえます。一般的にはひと夏を越すと落ち着くようです。 また私見ですが、高気密高断熱住宅を検討しているのなら、建築材料には細心の注意を払いましょう。 この建築システムは冷暖房効率を高め省エネを実現するため、換気を必要最低限に抑えることを暗黙の前提にしています。建築材料をすべて木や石などの天然素材で作るのなら話は別ですが、建材から予期せぬVOCが出た場合、他の住宅よりも換気回数が少ない分、高濃度で充満してしまう危険があります。未知の有毒物質による最初の被害が高気密住宅から出たとしても、少しも不思議ではないでしょう。 化学物質過敏症の発症を阻止するためにも、内装材には自然素材を多用し、また入居直後は換気回数を多めに設定しましょう。 最後にアレルギーや過敏症になってしまった人に対する注意点です。まず実績のある設計事務所や工務店に依頼します。引き渡しの時期はもっとも危険な夏を越え、換気しても快適な秋口がベストです。 そして、内装に使用する建材・下地用のベニヤや石膏ボード・接着剤・塗料の現物サンプルを取り寄せます。床・壁・天井材とベニヤは必ずカッターで削って、接着剤・塗料は紙に塗り硬化させて数日間おいた後に砕いてにおいを嗅ぎます。不快なにおいのするものがなければとりあえずOKです。 |